事業概要|数値で見る「ただいまIKOMA」プロジェクト
「ただいまIKOMAプロジェクト」は、奈良県生駒市にある築49年の木造アパートを対象とした賃貸不動産の再生プロジェクトである。
取得時点で4戸中3戸が空室となっており、居住用賃貸としての競争力はほぼ失われていた。
建物の老朽化に加え、周辺エリアでは新築アパートの供給が進んでおり、一般的なリフォームや家賃調整による改善は現実的ではなかった。
また、物件は細い路地の奥に立地しており、可視性や集客性の面でも不利な条件を抱えていた。
このプロジェクトは、こうした条件を前提に、築古アパートを「通常の賃貸商品として再生する」のではなく、学生との協働を通じて用途と役割を再定義し、事業として成立させた事例である。
所在地:奈良県生駒市
建物概要:木造アパート/築49年
取得時状況:全4室中3室空室(空室率約75%)
取得価格:約700万円
改修費:約900万円
総投資額:約1,600万円
年間賃料収入:約240万円(6年運用)
想定利回り:約13%
出口:最終売却価格 約1,700万円
一般的な不動産投資の文脈では、「築古・高空室・立地条件が弱い」という理由から、検討段階で見送られやすい物件である。この事例は、そうした扱いづらい条件を前提に、マーケット起点ではなく事業スキーム設計によって成立させた。
なぜ、この物件だったのか|マーケット起点ではなく、空き家起点
美想空間がこの物件に着目した理由は、「需要が見込める立地だったから」ではない。
むしろ、築年数が古く、空室が多く、一般的な賃貸商品としては競争力が低い条件が揃っていた点に着目した。
これらの条件は、多くの事業者にとってはリスクと捉えられる。一方で、同時に競合が極端に少ない領域でもある。そこに目をつけ、この物件を「通常の賃貸市場に戻すこと」を目的とせず、「別の役割を持つ建物」として再定義することから検討が始まった。
建物単体の価値向上ではなく、事業として成立する条件を整理することを優先した。
企画・設計の過程では、建築学生と協働しながら、住戸構成や共用部のあり方について検討を重ねた。
複数の案を比較した結果、全戸を従来型の賃貸住戸とするのではなく、共有スペースを含む構成へと再編する判断に至った。
施工・運営|学生参加型が事業にもたらした実際の効果
このプロジェクトでは、企画段階から施工・運営に至るまで、学生が継続的に関与している。
関わり方は、ワークショップへの参加、企画検討への関与、改修内容の検討、SNS等での発信など、多岐に渡った。
その結果、以下のような効果が得られた。
・企画段階での検討により、改修内容を整理できコスト調整ができた
・入居前から人の関わりが生まれ、運営開始時点での関係性が形成された
・学生による発信を通じた外部への認知拡大
学生参加は情緒的な価値として語られがちだが、この事例では、運営・コスト・認知の各面において、事業上の合理性を持つ役割を担ってくれた。
成果と出口戦略|“いい話”で終わらせない
結果として、このプロジェクトは、【年間賃料収入 約240万円/想定利回り 約13%】という運営成果を上げつつ、最終的に【約1,700万円での売却】に至っている。
この出口は偶発的なものではなく、用途の整理、合法化による資産価値の担保、事業内容が明確で説明可能なプロジェクトとして整理されていたことなど、複数の要素が積み重なった結果である。
築年数や空室率といった条件だけで判断すると、再生が難しいと評価されがちな物件であっても、用途設定・事業構造・出口の整理を同時に行うことで、成立する可能性があることを示す事例となった。
このように、美想空間では常に、建物単体のデザインや工事に留まらず、「事業として成立するか」という視点を前提に、企画・設計・運用・出口までを一体で検討している。
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