「新公民館VOL」という場所
宮崎市中心市街地にある「新公民館VOL」。
コワーキングスペース、イベントスペース、バーカウンター、サウナ、ポッドキャストまで。
「何をする場所なんですか?」と聞かれることもありますが、VOLは施設の機能だけでは説明できない場所でもあります。
オープンから約1年、この1年を振り返りながら改めて感じるのは、VOLをつくっているのは、建物ではなく、そこに集まる人たちだということ。
今回は、VOLを拠点に活動する入居者さんたちをご紹介しながら、この場所で起きていることについてお伝えしたいと思います。

「若者が帰ってきたくなる場所をつくりたい」 ─ 合同会社ヤッチャ 代表 杉本恭佑さん

まずご紹介するのは、合同会社ヤッチャ 代表 杉本恭佑さん。
日南市を拠点に、若者のキャリア支援や人材育成に取り組む杉本さん。VOL入居者さんの中でも、かなりのヘビーユーザーです!
仕事をして、仮眠室を使い、サウナに入り、ときにはポッドキャストも収録する。
「せっかくあるんだから全部使おうと思って」と、笑いながら話してくれました。運営する側としては、こんなに施設を使い倒してくれるのは本当に嬉しい限りです!
現在は日南を拠点に活動していますが、学生時代は、宮崎市中心部の商店街周辺でさまざまな企画や活動に関わっていたそうです。その頃に感じた面白さや人とのつながりが、今の活動の原点にもなっています。
そんな杉本さんの話で印象的だったのは、「まちづくり」という言葉への向き合い方でした。
「多くの人にとって、まちづくりって興味がないと思うんですよね。でも、友達がいるとか、面白い人がいるとか、好きな場所があるとか。そういうことにはみんな興味があると思うんです」と。
「地域を盛り上げよう!」「まちづくりをしよう!」と呼びかける前に、人との関係や居場所があることの方が大事なのではないか。杉本さんの活動は、そんな考え方に根ざしています。
そして、インタビューの中でもう一つ印象に残ったのが、「一回県外に出ても、帰ってきたときに顔を出したくなる場所をつくりたい」という言葉でした。
杉本さん自身が、出会った人や場所から受け取ったものを、今度は次の世代へ手渡していきたい。そんな想いが伝わってくる言葉でした。
お話していると、誰かを応援したり、背中を押したりすることをごく自然にされている方だなぁと感じました。
「若者が帰ってきたくなる理由になる場所とはどんな場所か」。その問いに向き合いながら、人を集め、企画をつくり、事業として実践している姿がとても印象的でした。
「学びを、もっと面白くしたい」 ─ 塾ビビビ 主宰 吉田晴哉さん

次にご紹介する入居者さんは、塾ビビビ 主宰 吉田晴哉さん。
現在英語塾を運営されています。ただ、話を聞いていると、吉田さんが向き合っているのは英語そのものではないように感じました。
都城出身。大学進学で秋田へ移り、卒業後は宮崎へ戻ります。その後、社会福祉協議会で地域づくりやコミュニティづくりの仕事に携わってこられたそうです。
現在は英語教育に取り組みながら、小学生向けの歴史探究塾なども運営しています。一見すると別々の活動に見えますが、吉田さんの中では一本の線でつながっています。
「学びを楽しいものにしたいんです」
例えば国語の評論文。受験問題として読むだけではなく、「自分はどう思うのか」を話し合う方が本当は面白い。
歴史も同じです。正解を覚えるためではなく、好きな武将や出来事を深掘りしていく。
興味から学びが始まる。そんな環境をつくりたいと考えてらっしゃいました。
その背景には、こんな想いがあると言います。
「人は、一つの価値観だけで生きていると苦しくなると思う。だからこそ、違う価値観に出会う機会を増やしたい。」異なる世代・異なる仕事・異なる考え方。そうした出会いが、人を少し自由にしてくれる。と、
吉田さんが考える「学び」とは、単に知識を身につけることではなく、自分とは違う価値観と出会うための入り口なのかもしれません。
お話を聞いていて感じたのは、とてもまっすぐな方だということでした。目の前の子どもたちや地域の人たちに対して、「自分にできることはないだろうか」と真剣に考えている。その姿勢が、「教育」という仕事にも表れているように感じました。
共通しているのは、「問いを持ち、動いていること」
今回取材させていただいた杉本さんと吉田さん。お二人が取り組んでいることはまったく違います。一人は若者の居場所を考え、一人は学びのあり方を考えている。
ですが、取材をしていて感じた共通点がありました。
それは、自分なりの「問い」を持ち、それに対して実際に動いてらっしゃるということです。
若者が帰ってきたくなる場所とはどんな場所なのか。
学びはどうすればもっと自由で面白くなるのか。
簡単に答えが出る問いではないからこそ、お二人とも考え続け、試し続け、実践し続けているのではないかと思います。
また、現在のVOLの入居者さんを見ても、デザイナー、飲食やコミュニティづくりに携わる人、不動産に関わる人、事業を立ち上げる人など、それぞれ専門分野はさまざまです。活動領域もまったく異なります。
それでも共通しているのは、みなさん、「いつかやりたい」ではなく、「今やっている」こと。
みなさんそれぞれがご自分なりの問いを持ち、それを事業や活動として実践されています。


VOLを運営する中で見えてきた、ひとつの”仮説”
わたしたち美想空間は、VOLをはじめとする施設を運営する中で、「自分が向き合っている問いを言葉にしている人のもとには、その問いに関係する機会が集まるのではないか」という仮説を持つようになりました。
例えば、杉本さんが「若者が帰ってきたくなる場所をつくりたい」と話している。吉田さんが「学びをもっと面白くしたい」と話している。
すると、ある日ふと持ち込まれた相談や機会が、その人と結びつくことがあります。
「それなら杉本さんに相談してみたら?」
「吉田さんなら面白がりそう」
そんな会話が自然と生まれます。
”やりたいことがある人”はたくさんいます。でも、その考えや活動が周囲に伝わっていなければ、機会と出会うことはなかなかできません。
VOLで起きているのは、単なる交流ではなく、それぞれが向き合っている「課題」や「問い」が可視化され、周囲に伝わっていくことなのかもしれません。

それがきっかけでプロジェクトが動き出すことも。

その延長線上に生まれた『広島通りプロジェクト』
そんな中、新公民館VOLを起点に動き始めた『広島通りプロジェクト』は、まさにその一例です。
このプロジェクトは、宮崎市中心部にある空きビルの再生プロジェクトで、この取り組みの中心にいるのは、VOL入居者の杉本さんです。
(『広島通りプロジェクト』については、また改めて詳しくご紹介します!)
このプロジェクトは突然生まれたわけではありません。
杉本さんが以前から抱いていた「若者が帰ってきたくなる場所とはどういう場所か」という問い。
新公民館VOLに寄せられた空きビル活用のご相談。
わたしたち美想空間が持っていた学生との接点。
地域との関係性。
それぞれが少しずつ重なり、このプロジェクトは動き始めました。
私たちはもちろん、このプロジェクトそのものも楽しみです。ですがそれ以上に、VOLで語られていた問いが、実際の事業として動き始めていることは、とても象徴的な出来事だと感じています。

VOL入居者杉本さん(右)と学生代表のひかる君(左)

新公民館VOLが目指していること
実は、「VOL」という名前には、「あなたの想いも Volume(ボリューム)を上げてみませんか?」という意味を込めています。
それは決して、大きな夢を語ろうという話ではありません。
自分は何に興味があるのか。
どんな課題に違和感を持っているのか。
何を実現したいと思っているのか。
それを少しでも言葉にしながら動いてみる。
VOLは、その受け皿でありたいと思っています。
私たち美想空間は、しばしば、「まちづくり会社」と言われますが、出発点はいつもとても具体的です。
空きビルをどう活かすか。
困っているオーナーの力になれないか。
どうすれば新しい事業として形にできるか。
そうした一つひとつに向き合った結果として、まちに変化が生まれていく。
私たちにとって、まちづくりは、あくまで「結果」です。
VOLも同じです。
わたしたちが目指しているのは、ただ「人が集まる場所」ではありません。「問い」を持つ人が集まり、仲間や機会と出会い、事業やプロジェクトへと発展していく。その起点となる場所になること。
そしてその積み重ねが結果として、宮崎のまちに新しい風景をつくっていくと考えています。
オープンから約1年。VOLは完成した場所ではなく、これからも新しい問いと挑戦が生まれ続ける場所でありたいと思っています。

2026.6月、UMKテレビ宮崎「U-doki」が弊社代表 鯛島を密着取材してくださり、Youtubeにアーカイブが公開されました。
宮崎事業で私たちが取り組んでいる、
・新公民館VOL
・空きビル再生
・古民家再生・DIYワークショップ
・移住支援
などの活動を、とても分かりやすく紹介していただき、宮崎事業の全体像をご理解いただける内容になっています。
UMKテレビ宮崎「U-doki」Youtubeチャンネルより、ぜひご覧ください!
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