なりわいながら暮らす家 ー 八尾・恩智神社ふもとの鉄骨住宅を、母娘の夢を叶えるカフェ&サロン併設の住まいへ

SERVICE
住宅リノベーション
KEYWORD
戸建てリノベ
SOLUTION
建築
PROJECT
住宅+店舗リノベ
なりわいながら暮らす家 ー 八尾・恩智神社ふもとの鉄骨住宅を、母娘の夢を叶えるカフェ&サロン併設の住まいへ
PROBLEM

カフェを始めたいけど、家と店舗の二重コストが負担に・・

母娘が長年温めてきた「自分たちのお店を持ちたい」という夢。しかし、店舗単体での開業は、家賃や生活費など二重のコストが発生し、資金面・運営面ともに大きなリスクがあった。さらに、大阪市内などで条件に合う物件を探すも、大幅な間取り変更ができない、火気使用NG、老朽化による修繕負担といった制約に阻まれ、理想の店舗像とはほど遠い現実が続いた。物件探しやリフォーム会社巡りを重ねるも、思うように進まず、一度は夢を諦めかけていた。

OUTCOME

店舗兼住宅で、コストを抑えて夢の実現が可能に!

美想空間が提案したのは「店舗兼住宅」という解決策。1階を店舗、2階を住居にすることで、生活と事業を同じ場所で完結させ、家賃負担を一本化。また、鉄骨住宅の構造を活かしながら、店舗と住居の動線を完全分離し、双方の快適性を確保。結果、母娘がそれぞれの得意分野を活かすカフェとエステサロンを同時オープンできる計画が実現した。

夢を温めた時間と、突然訪れた転機

I様母娘が「自分たちのお店を持ちたい」と話すようになったのは十数年前。お嬢様が高校生の頃から描いていた夢は、やがて現実的な挑戦へと変わっていった。

社会人経験を経て資金を蓄え、2年前に本格的な物件探しをスタート。大阪市内の古民家や賃貸物件も候補に挙がったが、修繕負担や使用制限がネックとなり、希望は叶わなかった。

リフォーム業者やショールームを回るも「理想と少し違う」という感覚が拭えず、行き詰っていた。

そんな中、転機は突然訪れた。

IKEA帰りに立ち寄ったKLASI COLLEGEで、美想空間の施工事例に触れ、自分たちの理想と重なる感覚を得た。スタッフとの会話で「物件探しから伴走できる」と知り、再び挑戦を決意。

後日、恩智神社を参拝した帰りに偶然見かけた売り物件に心を奪われる。山並みを望む窓、公園を正面にした立地、鉄骨の佇まい。

想定していた駅近条件とは異なったが、直感で「ここだ」と決めた。

物件との出会いもまさに”運命”。

設計と施工のプロセス

計画のテーマは「暮らしと商いの分離」。

玄関位置を改め、階段を掛け替え、来客と生活を交えない動線を実現。1階はカフェとエステ、2階を住居とした。

店舗部分は鉄骨造の天井を躯体現しで見せ、白塗装で清潔感をプラス。木の質感をベースに、黒枠やR開口をアクセントとし、落ち着きの中にインダストリアルな要素を取り入れた。

サロンは高窓を設けて自然光を取り込みつつプライバシーを守り、洗面やトイレには異素材のタイルを組み合わせて印象的なデザインとした。

住居部分は最小限のリノベに抑え、限られた予算を店舗に集中投下するという、メリハリのある予算計画とした。

完成した店舗部分。

地域に開かれる店舗

また、工事の段階から売主さんや近隣住民の方が「開店が楽しみ」と声をかけてくださるなど、地域との関係性も順調に育まれた。

引き渡しの際、売主さんが隅々まで掃除をされていたことも印象的で、この場所が再び人々を迎えることを喜んでくださっていた。

恩智神社の参道沿いという立地は、初詣や桜の季節に人通りが増える。ここがまた、地域と共に賑わいをつくる舞台となる。

やわらかな光が何とも心地よい。「参拝の帰りにはここに寄る」が定番になりそうだ。

完成とオープン、そして広がるご縁

完成した店舗は、左にカフェ、右にサロンの二つの入り口を持ち、公園の緑が大きな窓いっぱいに映り込み、開放感のある雰囲気をつくっている。

オープン後は、I様母娘がこだわって選んだタイルや照明について質問を受けることも多い。丁寧に作り込んだ空間そのものが、来店の楽しみになっている。

また、ロゴ制作は美想空間が運営するシェアオフィス「築港ターミナル」のデザイナーに依頼し、そこからオリジナルグッズの制作や農家とのつながりが広がった。

母娘は揃いのロゴ入りユニフォームでキッチンに立ち、グッズを店頭販売した際も好評を得て、お客様とつながるアイコンとなった。

カフェでは麹を使ったランチやスイーツを提供し、将来的には自ら生麹を仕込み販売する構想も描いている。さらにワークショップを通じて新しいコミュニティを育む準備も進めており、挑戦は今も止まらない。

店舗入り口。左がカフェ、右がサロン。
タイル使いが素敵な洗面
ロゴデザインは美想空間が運営するシェアオフィス「築港ターミナル」のクリエイターが担当
お揃いのユニフォームでお出迎え

暮らしと商いの最適バランス

このプロジェクトは、暮らしと商いを同じ場所に組み込むことで、住まいと仕事の新しいかたちをつくり出した。二重のコストを抑えながら、地域との関係を自然に深められる住まい方でもある。

美想空間が大切にしてきた「人とまちをつなぐリノベーション」の考え方が、今回の住まいにも息づいている。

I様母娘が大切にしてきた夢がカタチになり、地域に開かれた場として歩み出したこの場所。ここからまた新しい物語が生まれ、暮らしと商いが育っていく。

白×木の、落ち着いた雰囲気。
麴を使ったランチやスイーツ、やさしいお味が沁みる
美想空間メンバーとI様。これからもよろしくお願いいたします!

VOICE

石岡 愛[プランナー]

仲良し親子のI様との打ち合わせはいつも笑いが絶えず、良いリアクションをして下さるのでご提案後の反応が嬉しかったです。 お好きな店舗を一緒にまわってデザインを共有していただき、店舗作りのイメージを膨らませた日々が既にとても懐かしいです。