大阪市浪速区日本橋

築70年の文化住宅をレストランウエディングにリノベーション!『FUN SPACE DINER』プロジェクト

SERVICE
空きビル自社運営
KEYWORD
長期安定収益モデル
SOLUTION
事業構築・建築・企画運営
PROJECT
FUN SPACE DINER
築70年の文化住宅をレストランウエディングにリノベーション!『FUN SPACE DINER』プロジェクト
PROBLEM

「好立地なのに30年空き家」複雑な権利と老朽化が立ちはだかる文化住宅

大阪市浪速区の中心、「なんばパークス」や「でんでんタウン」近くに築70年の文化住宅『アパート千南荘』があった。 南海難波駅から徒歩4分の好立地ながら30年以上空き家状態で、所有者が複数に分かれる複雑な権利関係と、現行法に適合しない老朽建物という課題を抱えていた。壊すことも放置することもできず、既存建物を活かす活用策が必要だった。

OUTCOME

歴史を活かし価値を再編集。築70年の文化住宅を多目的複合施設へ再生

美想空間は管理会社と協力し、所有者全員との協議を重ねて権利関係を整理。 並行して構造補強や法的適合の手続きを行い、約1年・42回の調整を経て改修可能な状態に整えた。 リノベでは柱や梁、古材や窓を活かし、歴史を感じられる広々空間に再生。2017年11月、『FUN SPACE DINER』として生まれ変わった。

今から約7年前、大阪の中心部に一軒の古い建物がひっそりと佇んでいた。「なんばパークス」や「でんでんタウン」のすぐ近くにある、築70年の文化住宅『アパート千南荘』である。

長年空き家のまま、時代の波に取り残されていたその場所には、地域を再び活気づけたいというオーナーの思いがあった。
しかし、その実現は一筋縄ではいかない背景があった。
複雑な所有権問題や建築基準の壁など、多数の無理難題たちだ。

プロジェクトのはじまり

南海難波駅直結の大型商業施設「なんばパークス」と、昔ながらの電気街「でんでんタウン」に挟まれた場所にある文化住宅『アパート千南荘』。
南海電鉄なんば駅から徒歩4分という好立地にもかかわらず、30年以上も入居者がいなかったこの建物は、完全に時代から取り残されていた。

建物を壊すこともできず、そのまま放置するわけにもいかない状態。
既存建物を活かしたリノベーションが唯一の活用手段だった。
建物オーナーの「かつての賑わいをこの地域に再び取り戻すために、リノベーションを行いたい」という意向も受け、美想空間はこのプロジェクトを進めることになった。

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開発が進むエリアの隣でひっそりと佇む改修前の千南荘

立ちはだかる無理難題の数々…!

プロジェクトをスタートするにあたり、まず最初に立ちはだかったのは、複雑に絡み合った権利関係だった。
土地や建物の所有者が複数人に分かれており、それぞれの状況が長い年月を経てさらに複雑化。
誰がどの部分をどう所有しているのかを把握するだけでも、一筋縄ではいかなかった。

そこで、建物を管理する不動産会社と手を組み、所有者一人ひとりと粘り強く話し合いを重ねた。
それぞれの意向を丁寧に聞き取りながら、複雑な権利関係を一つひとつ紐解いていった。
この過程は、なかなか解決の糸口が見えないことも多く、忍耐力と根気が必要だった。

次に、建物そのものの問題にも直面した。
この建物は戦後間もない頃、建築基準法がまだ制定される以前に建てられたもので、現行の法律に合わせるためには多くの改修が必要だった。
老朽化した箇所の補強や構造の見直しだけでなく、法的な適合性をクリアするための手続きも必要だった。

こういった背景から、関係者や行政との協議は想像以上に時間がかかり、気がつけば1年以上にも及び、協議回数はなんと42回(!)にも上った。
毎回、議論を重ねるたびに新たな課題が浮き彫りになり、その都度解決策を模索しながら前に進む…。途方に暮れるような期間だったと、当時のメンバーも振り返る。

こうして、ひとつずつ、協議・検討・解決などを積み重ね、ついに権利関係や建物に関わるあらゆる問題をクリアすることができた。
こういった一連の動きは、非常に大変な道のりではあったが、プロジェクトの基盤を支える大切な土台となった。

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改修前の1階部分。この階段は解体せずそのまま利用。
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築70年。時の流れを感じる。

いよいよ!建物を再生!!

リノベーションに関しては、建物の歴史的価値を最大限に生かすことを重要視した。
築70年の文化住宅「アパート千南荘」は、2階建て、延べ床面積約500㎡、全23室という構造で、戦後間もない時代に地域の暮らしを支えてきた建物である。
その歴史的価値を尊重しつつ、新たな価値を生み出すために、設計と施工の両面で数々の工夫を凝らした。

まず、リノベーションにより部屋の壁を取り払い、70年間建物を支え続けた柱や梁をあえて見せる設計を採用した。
それにより、建物が刻んできた時間の重みを感じられるだけでなく、広々とした解放感のある空間となった。
また、解体時に出た古材を壁や床の仕上げ材として再利用し、レトロな窓もそのまま残すことで、新築では絶対に得られない経年変化の風合いを生かした空間となった。

このような設計により、解放感と山小屋のようなアウトドアの雰囲気が感じられる唯一無二の建物となり、同時にコストも最大限に抑えることができた。

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工事中の様子。
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70年間建物を支え続けてきた立派な柱や梁は残した。
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そして生まれ変わった空間がこちら。まさに、リノベーションならでは。

「FUN SPACE DINER」の活用事例

こうして、2017年11月、「アパート千南荘」は古き良き部分と新しい魅力を兼ね備えた、人と人が繋がる場所「FUN SPACE DINER」として生まれ変わった。

オープン当初は、ホテル、レストランウェディング、設計デザイン会社、美想空間ショールームの4つのテナントが入居し、多様な目的で利用できる複合施設としてスタートした。
そして現在は、レストランウェディングをはじめ、イベントや動画撮影、企業セミナーなど、多種多様な目的で利用できるレンタルスペースとして運営されている。

特に、リノベーションした空間で行うレストランウェディングの人気は非常に高く、開業から2年で結婚式関連ポータルサイト「ぐるなびウェディング」で全国1位を獲得した。
ピーク時には1日に3回の挙式が行われる日もあり、予約は2年先まで埋まるほどの人気を誇った。

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レストランウェディング
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フォトウェディング
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youtube撮影/TV番組撮影
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企業研修・セミナー
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展示会・イベント各種

FUN SPACE DINER公式HP
https://www.funspacediner-studio.com/

プライベートサウナの登場!!

このように、これまで多種多様なコミュニティ活動を展開してきた「FUN SPACE DINER」だが、2024年12月、新たな魅力が加わる。

1階にプライベートサウナが登場する。

最近は「ととのう」サウナが増えてきているが、完全プライベートでゆっくり楽しめる場所はまだまだ希少だ。
ここでは、おひとりさまはもちろん、カップルや友達グループでの利用も可能。
さらに、大人数でのサウナイベントや、セミナー、社内研修といったビジネス利用にも対応する。
会議用の個室や必要な機材も揃っているので、アイデア次第でいろんな使い方が広がる。
それぞれが思い思いの時間を過ごせる、そんな「自由なサウナ」を体験できる。

「FUN SPACE DINER」から学んだ空き家事業の可能性

「FUN SPACE DINER」の成功は、美想空間のその後のプロジェクトにも大きな影響を与えた。
このプロジェクトで培われた空き家再生のノウハウや、地域特性に応じた柔軟なアプローチは、大阪市港区「KLASI COLLEGE」の誕生や、大和郡山・宮崎での取り組みにも存分に活かされている。

現在も、美想空間は空き家や空きビルの活用に取り組み、数々の案件を進行中である。
どの案件も一筋縄ではいかず、毎回課題は山積だが、課題・問題に直面するたびに柔軟な対応を重ね、新たな価値を創造する挑戦を続けている。

FUN SPACE DINER サウナHP
https://www.funspacediner-sauna.com/

「FUN SPACE DINER」から学んだ空き家事業の可能性

「FUN SPACE DINER」の成功は、美想空間のその後のプロジェクトにも大きな影響を与えた。
このプロジェクトで培われた空き家再生のノウハウや、地域特性に応じた柔軟なアプローチは、大阪市港区「KLASI COLLEGE」の誕生や、大和郡山・宮崎での取り組みにも存分に活かされている。

現在も、美想空間は空き家や空きビルの活用に取り組み、数々の案件を進行中。
どの案件も一筋縄ではいかず、毎回課題は山積だが、課題・問題に直面するたびに柔軟な対応を重ね、新たな価値を創造する挑戦を続けている。